
今回はカービングターンの力学について考えて見ます。
カービングターンは縦ずれ抵抗0,横ずれ抵抗∞という極端な状況(実際はない)を想定した力学になります。
カービングターンによるターンは「いかに減速をしないで、重力による加速を推進力に変える方法」が目的になります。
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【前提条件】
1.スキーの推進力(進行方向に向かって落下する力)は”全て”重力から得る。
2.スキーのターンに必要な推進力(ターン弧の中心に向かう力)はスキーのエッジが作るカーブから得る。
【ターンを生み出す力】
図1(一枚目の画像)を見てください。
図1は重力と、エッジングによって得られる雪面抵抗がターン方向への推進力となる力を示しています。
重力は谷に向かって身体を押そうとします。それに対して、エッジングと遠心力にあらがう筋力によって、重力のうちソールと垂直な方向に反力を生み出しますから、結果的に残った赤線部分の力が残り、スキーは赤線方向に進みます。
これがターンの推進力だと思います。
このとき、いかに身体(体重)を無駄なく推進力に変えるかを考えると、雪面成分については、赤線に示す力だけを残してそれ以外の力を打ち消せばよいわけです。
つまり、回転弧の中心からエッジまでまっすぐ引いた直線上に体軸を載せればよいことがわかります。
しかし、じゃあ身体を雪面にべったり寝転がってエッジを雪面に垂直にしたらよいかというと、そんなことしたら倒れてしまいます。
実際には、身体が逆らわなければいけない力として、重力(の雪面に垂直な成分=立つのに必要な力)がありますので、身体の軸は重力と、雪面方向の遠心力との合力(斜め上)に対して反対のベクトルに傾けるのが最適となるはずです(図1の円柱)。
本当に単純ですが、これ以外の理屈は基本的にないのではないでしょうか。
【ターン中のポジションの変化】
ターン時に常に効率よく重力を推進力に変えようとした場合、どうポジションを作ればよいでしょうか。
ターン初期(谷回り)の時は回転弧の中心は板よりも谷側にありますから、体軸は板よりも前方に傾ける必要があります。
ターン中盤(スキーのトップが谷を向いているとき)は回転弧の中心がほぼ真横にありますから、体軸は板の中心付近から横に向かって伸びます。
ターン後半(山回り)では、回転弧の中心は板よりも山側にありますから、結果的に体軸は板より後ろに向かって伸びることになります。
そして、ターンをしている限り、板と体軸の前後関係は常に前から後ろへと変化します。
【連続ターン】

ターンを連続的に行うと、次のターンに移るときに、回転弧の中心を次のターンが生み出す回転弧の中心に移動させる必要があります。
そのために、板よりも山側にあった体軸を、次のターンの中心に向けて、板の前方に移動させる必要があります。これがクロスオーバーの動作になります。
【大回りと小回り】
エッジのカーブは一定ですので、エッジの描く円弧のサイズはは同じです(実際はたわませたり前後動を駆使して変化すると思いますが割愛します)。
そうすると、大回りをしたいときには、最大限に円弧の半径を使い、小回りをしたいときには円弧の一部分をつなげてターン幅を狭めることになるはずです(図2)。
そうしますと、大回りに比べて、小回りは回転弧の中盤のみを使うことになりますので、結果的に体軸は左右の動きの要素が強くなり前後動が減ります。
よって、大回りに比べると、同じ板で効率的に小回りをするときは前後動への重心移動が減り、身体は谷側を向いた状態となるはずです(実際は前後動を使ってよりアクティブにターン弧を描くこともできますが・・・)。
【ずらし】
ずらしも同じ理屈で考えます。図1で、エッジングが生み出す向心力が重力が生み出す遠心力よりも少ない場合、自然と身体はターン弧よりも外側に向かって全体的にずれていきます(四輪ドリフトのようにといえばわかりますでしょうか?)。
向心力を減らすとは、必要よりも体軸(体重)を回転弧よりも外側にする(つまり、”身体を立てる”)ことで、実現できます。
カービングしている最中に身体をゆっくり立てることで、ずるずると外に膨らんでいくことがわかると思います。
【不整地】
不整地でターン弧を描く場合、はフルカービングしようとしても常に雪面と重力の関係が変化しますので、図1のようなぎりぎりのバランスを保つこと ができません。そこで、推進力よりも、倒れずに暴走しないように(意図しないところに板が移動しないように)滑ることが重要ですから、「ずらし」ポジショ ンを的確に維持することに重点をおきます。
となると、
・体軸を立てて、どの方向にもずらしやすいようにする。
・ショートターンの場合、コブなどにあわせてずれることで回転弧の中心が左右に移動(ドリフト)するので、結果的に回転軸が左右にずれるような動きになる。
ことで安定した滑りとなります(この辺は岩渕氏のDVDの受け売りです)
【終わり】
というわけで、図1の力成分に従ったポジション(体軸と重心位置)を斜面とターン状態に合わせて正しく配置し続けることで、もっとも余計な力を使 わずに、効率的に大回り、小回り、カービング、スキディング、整地、不整地を問わずにスキーを走らせることができるのではないかと思います
。
ここに、水平面とか二軸とかトップコントロールとか内足がどうのといった理論(?)が入る余地はないように思えるのですが・・・
。
多分そういった「お話」は図1の効率的な体軸変化を実践するための方法論(メソッド)なのではないかなーと思います。間違っているわけではなく、理論と実践、目的と方法は分けて考えないと、「手段のためには目的を選ばない」になってしまうかと思います。
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